アプリをパクって何が悪いんですか?
っていうタイトルにすると炎上すると聞いたので・・・(震え声)
最近、アプリのパクリについていろいろ起きているようです。
似たような問題は前にもあったのですが(アプリ名を失念)、アプリをパクったとき「悪いパクリ方」と「良いパクリ方」があり(権利侵害と、真っ当な模倣)、その区別はちゃんとしなければならない気がします。
アイデアは著作権法では保護されない
まず、大前提として、アイデアは著作権法では保護されません。
著作権法では、著作物を
思想又は感情を創作的に**表現したもの**であって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
とあります(著作権法 - Wikipedia)。したがって、アイデアのような思想や感情そのものは保護されません。
「釣りゲーム訴訟、グリー敗訴が確定 最高裁が上告退ける」といった実際の例を見てみます。
「DeNAがグリーの釣りゲーをパクった」というような趣旨の裁判なのですが、この線引は「アイデア」か「創作」か、ということで、「アイデアであれば著作権法違反ではない」というようなことが上記記事でも書かれています。
まとめると、単純にアイデアのみをパクる場合は全く問題ありません。品がないと思いますが、罰する根拠がないです。
(補足)ご指摘がありましたが、特許(自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものとして認められたもの)や、実用新案などは権利保護の対象となりますし、特許権を持っているアプリなどもあります。その場合には、特許などを拠り所として訴訟が可能であります。
アイデアは法律で保護されなくて良い
補足をすると、アイデアは法律で保護されるべきではありません。
例えば、僕がユニクロのアイデアをパクって、「ファストファッションのお店を作ろう!」と考えたとします。先行者に勝つために、効率化などを図って、「より安価に提供できるようにする」などの戦略を取ります。消費者からすれば、より安価にファストファッションを楽しめるようになるので、消費者の利益になります。
どの業界にも似たようなサービスを提供する会社がありますから(牛丼業界なら、すき家、吉野家、松屋、らんぷ亭)、必然的にアイデアをパクっているということになります。
このように、アイデアをパクる、という行為はとても当たり前のことです。そして、アイデアがパクられることによって、消費者の利益になります。
絵やプログラムは当然保護される
絵はプログラムなどは保護されるので、それを複製してしまった場合は著作権法に違反することになります。例えば、他所のアプリの写真を勝手に複製し、使用した場合などがこれに当たります。
では、ソースコードはどうでしょうか? ソースコードも保護されます。
著作権法上の「プログラム」は、電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう(法第2条第1項第10号の2)。著作権法上の「プログラム」は著作権法で保護される(法第10条第1項第9号)。
(中略)
具体化されたものの例
バイナリ形式・・・実行形式ファイル、オブジェクトファイル、ライブラリファイル
テキスト形式・・・ソースファイル、スクリプトファイル
以上より、アイデアをパクっても問題ないが、ソースコードやイラストなどをパクるのはダメです。
その他
その他にも、そのパクリが良いか悪いか、という判断基準などがあります。あまり詳しくないので、紹介だけすると、
などです。
アイコン付箋紙は悪いパクリか?
アイコン付箋紙は悪いのか、という話に進みます。
完全に乗り遅れたせいでかなり検証が不正確になってしまうのですが、「アイコンメモ 無料版」の提供開始と悪質な偽物アプリについてという記事のスクリーンショットを見てみると、HTML等を使ってアプリを実現しているようです。「ソースコードもパクってる」という旨のことをおっしゃっているので、HTML等のソースコードがコピーされた、ということを確認した、ということでしょう。
この前提を信じ、そのソースコードが著作物として認められるならば、ソースコードをパクっている以上、著作権の侵害だ、という話になります。
しかし、このパクリが悪くなかった可能性も
アイコン付箋紙の場合は、HTML等のソースコードをパクったため、著作権の侵害だ、ということになりますが、もしソースコードをパクっていなければ問題がなかった可能性が高くなります。
というような、パクリかどうか曖昧な話が今後出てくるだろうなーという予想です。
アイデアをパクられたので悪質だ、という話になると、ちょっとそれは違うんじゃないかな―というのが、本日のまとめでしたー*1。
*1:ご指摘の通り、アイデアが特許や実用新案として認められている場合がありますので、その場合には裁判しましょうー